六限の図書館
Vol.10 いかに私たちはコミュニケーションをやりとげるのか? ― 人間行動学者・細馬宏通氏をむかえて
友達同士でわいわい話すとき,恋人未満の友達とおずおずと話すとき,あるいは、重いものを「せーのッ」で運ぶとき……私たちが誰かとコミュニケーションをとろうとするときに,私と誰かの間には,言葉や仕草だけでなく,何が起きているのでしょうか?
人間行動学を基点にして,アニメのなかの動きと音の関係を描き出したり,かつての歌謡曲からJ-Popまで歌に隠された仕組みを探しだしたり,はては,自らミュージシャンとして表現までしてしまう稀有な研究者・細馬宏通氏が,次に観察したのが“介護の現場”。そこでの驚きの発見から始まり,私たちが何気なく,そして,どうにかこうにかやりとげている日々の“コミュニケーション”というものを違った視点から読み解いていきます
今回の「六限の図書館」では,著書『介護するからだ』のなかに描かれていた場面を実際の映像を見ながら解説していただきました。すると,不思議なことに普段は無意識にやっている私たちの行動やしぐさ,ジェスチャーやタイミングが,言葉以上にコミュニケーションを助けているということに気づき驚かされるのです。私たちの“からだ”がいつも当たり前にやっている小さな動作の連続性や積み重なりが相互に作用して,人と人とのつながりをひらいていくのかもしれません。
開催日 | 2016年11月18日(金)18:00~20:00 |
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会場 | 宮城大学大和キャンパス図書館 |
《ゲスト・プロフィール》 細馬 宏通(ほそま・ひろみち)
1960年、兵庫県生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了(理学博士/動物学)。現在、滋賀県立大学人間文化学部教授(コミュニケーション論)。2006年から介護現場での観察研究を始め、利用者やスタッフの会話にあらわれる身体動作を観察してきた。著書に『浅草十二階――塔の眺めと“近代"のまなざし』(青土社)、『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか――アニメーションの表現史』(新潮社)、『今日の「あまちゃん」から』(河出書房新社)、『うたのしくみ』(ぴあ)など。ミュージシャンとしても活動しており、バンド「かえる目」では、ボーカルと作詞・作曲を担当。 ※著書「介護するからだ」(医学書院)より抜粋
※プロフィールはイベント開催時(2016年11月)当時のものです。
イベントレポート
イベントの様子を記録したDVDを図書館でご覧いただけます。
これまでの六限の図書館
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- Vol.21 考えて書く、書いて考える—レポート執筆の基本と実践—
- Vol.20 シラバスに載っていない参考図書 2020年版
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