六限の図書館
Vol.12 書体をつくるということ ―鳥海修氏(書体設計士)をむかえて
私たちは,文字を目にしない日はありません。しかし,書かれている内容は気にしても,ひとつひとつの文字の形に注意を払うことはあるでしょうか。ひとたび目をこらしてみると,丸いもの,四角いもの,線の細いものなど,さまざまなデザインの文字があることがわかります。書かれていることを理解する上で,言葉の意味と同様に(あるいはそれ以上に),文字そのもののデザイン(書体)が私たちに与える影響は大きそうです。
では,さまざまな書体の向こう側で,それらをつくっている人々はどのように考え,デザインしているのでしょう。
今回の「六限の図書館」では,書体設計士という「文字をつくる仕事」に取り組む鳥海修氏をゲストにむかえ,知られざるその世界を少しずつひもといていきました。
文字の歴史にはじまり,明朝体のこと,書体制作を志したころのことなど,話はとどまることなく続き,後半のレタリングの実演では,職人の姿を私たちに見せてくださいました。出来上がった文字は,その場で書いていただいたとは思えないような美しさです。(実物をご覧になりたい方は,大和キャンパス図書館カウンターまで。)
当日のイベントの様子は,イベントレポートをご覧ください。また,著書『文字をつくる仕事』(大和キャンパス図書館に所蔵)もぜひご一読ください。
《ゲスト・プロフィール》 鳥海 修(とりのうみ・おさむ)
1955年生まれ。多摩美術大学GD科卒業。有限会社字游工房代表取締役であり書体設計士。ヒラギノシリーズ,こぶりなゴシック,游明朝体,游ゴシック体など,ベーシック書体を中心に100書体以上の書体開発に携わる。2002年第一回佐藤敬之輔顕彰,2005年グッドデザイン賞, 2008年東京TDC タイプデザイン賞を受賞。京都精華大学客員教授。著書に『文字を作る仕事』(晶文社刊,日本エッセイスト・クラブ賞受賞)がある。
ゲストが選定・六限のブックトラック
これまでの六限の図書館
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- Vol.21 考えて書く、書いて考える—レポート執筆の基本と実践—
- Vol.20 シラバスに載っていない参考図書 2020年版
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