六限の図書館
Vol.18 障害を,世界を新しく捉え直す視点として考える
「障害は人ではなく、社会の側にある」という考え方があります。言いかえれば「《障害者》がいるのではなく、さまざまな個性や事情を持った私たち皆に、社会が対応できていない状態が《障害》を生むのだ」というものです。たしかに、社会の側がそれぞれの人にあわせてデザインされれば、障害はなくなくとも言えるかもしれません。しかし、それもまた「障害は改善されるべきもの」という枠にとどまっているようにも思われます。もし、障害が改善される課題ではなく、世界を新たに捉え直す視点になるとすれば——そう問いかけてみたとき、私たちのものの見方は、人との関わり方は、デザインは、どう変わるのでしょう?
(小川直人[学術情報センター学芸員])
ゲスト:田中みゆき(たなか・みゆき)
21_21 DESIGN SIGHT、山口情報芸術センター[YCAM]、日本科学未来館にて展覧会や公演などの企画、書籍の編集に携わったのち、フリーランス。障害を「世界を新しく捉え直す視点」として活動を展開。障害に関する主な仕事に『骨』展(2009年、21_21 DESIGN SIGHT)、『義足のファッションショー』『“subliminal wave of light” otto & orabu × 高木正勝 LIVE at Miraikan』(共に2014年、日本科学未来館)、『障害(仮)』展記録冊子編集(2016年、鞆の津ミュージアム)、『国際交流基金 障害 x パフォーミングアーツ特集 “dialogue without vision”』(2016 年、KAAT神奈川芸術劇場)、『大いなる日常』展(2017年、ボーダレス・アートミュージアムNO-MA)、『音で観るダンスのワークインプログレス』(2017年、KAAT神奈川芸術劇場)など、カテゴリーにとらわれずプロジェクトを企画。最近の仕事は、映画『ナイトクルージング』(2019年)をプロデュース。 http://miyukitanaka.com/
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